お便り/3月号未掲載分

 2025年1月23日  最終更新日時 :2025年1月23日 .

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

ジミー狩野(牧男)85歳  カナダ・トロント

 トランプが次期大統領に決定した直後、「カナダはアメリカの51番目の州になればいい」と言うとんでもないトランプの発言にはいささか驚いた。その時は悪いジョークと思われていたが、発言したご本人はこのジョークが大変気に入ったらしく、その後も「51州案」を連発している。 確かに悪いジョークでも何回もなんかいも言えばみな本気になるようだ。 カナダ・トルドー首相もそのことについて「トランプはジョークと思っていないようだ。」そして「カナダの貴重な鉱物資源を狙っている。」と、改めて発言した。 たった4年の任期で実現出来るとは思わない。 可能性はほぼゼロであるジョークだが、トロントでは大騒ぎのようだ。 「Buy Canadian」(カナダ製品を買おう)運動が巷で始まっている。いわゆるアメリカ製品のボイコットだ。 まず腰を上げたのがオンタリオ州のダグ・フォード首相だ。酒屋の棚から一斉にアメリカ産のカルフォルニアワイン、アメリカンウイスキーやバーボンなど。おまけにアメリカ産の日本酒までも消えてしまった。 ちなみに、オンタリオ州(各州も同じ)での酒類販売は全てオンタリオ州酒類専売公社であるLCBOで行なっている。 しかし、その後、取り敢えず「30日間はトランプ関税・トルドー関税は延期する。」と、発表されたので、一旦撤去した酒類をまた棚に戻すという慌ただしい事態となり、トランプ旋風に振り回されている。 だが、FaceBook(フェースブック)を見る限りでは、トロント市民はこのまま黙っていないようだ。 今、槍玉に上がっているのはアメリカの「Starbucks Coffee」(スターバックス・コーヒー)だ。 シアトル生まれのコーヒー店までカナダ人にボイコットされ始めている。 次はマクドナルドか? しかし、カナダでは、ほとんどのモノが手に入る。 とくに、広大な国土には石油、天然ガス、多種多様な貴金属などの天然資源が手つかずで眠っている。(実際に埋蔵量は測られていないそうだ。) 有り余る自然も国土の大部分を占めており、森林資源も豊富。カナダ中央部の平坦な農地では小麦、大麦、大豆などが生産されている。蕎麦に限っては日本が最大の輸出国となっているそうだ。 しかし、やはり北国特有の冬の厳しさからはいかんともしがたいところがある。 昨夜(2月10日)から未明にかけての大雪で、今日は学校も全部休校で公共の乗り物にも影響が出ている。 トランプ関税に対抗するトルドー関税が導入されると、アメリカ産の品物の価格が跳ね上がることは必須で、現在カナダ国内の生産者、供給元を探すのに躍起になっているようだ。 ところで、私もじつは災難を被っている一人だ。 それは野菜の高騰だ。それでなくても冬場のカナダでは野菜を全部輸入に頼っている。ほとんどの野菜はフロリダやカリフォルニアから輸入されている。 とくに、私の場合、糖尿病で管理栄養士から食事の前に野菜を摂るように厳重に言われている。最近ではあまりの高騰でいつもの半分の量に減らされてしまった。 「カナダ産を購入しようという機運が一気に高まっている。しかし、どうにもならないものもある。」 トランプの25%関税騒動はいつまで続くのだろうか。トランプは何をしてくるかわからない狂人なので、警戒が必要だ。