お便り/4月号の未掲載分
忍びの隠れ蓑(みの)
ジミー狩野(牧男)84歳 カナダ・トロント
「忍者ハットリ君」といえばすぐ思い浮かべるのが服部半蔵だ。日本人なら誰もが一度は聞いたことがあるほど知らない人はいない有名な忍者。服部半蔵は徳川家康のお抱え忍者としても有名だ。じつは、服部半蔵という名は特定のひとりを指す名称ではなく、服部家の頭領が代々名乗ってきた通称なのだそうだ。忍者として有名な服部半蔵2代目「正成」は数々の戦で手柄を立て論功行賞(ろんこうこうしょう)で槍一本と「伊賀衆150人」を預かることになり、以後服部半蔵正成は伊賀衆を束ねる身分となっていく。やがて織田信長が本能寺の変で討たれたことにより、首を狙われることを危惧した徳川家康は、堺から三河国への帰還に伊賀を通る迂回ルートを選択し、服部半蔵正成には岡崎へ帰るまでの警護と道案内を命じられた。これが有名な「伊賀越え」だ。この功績により徳川家康は天下統一後に築いた江戸城の門の一つを「半蔵門」と名づけ、服部半蔵の一族に警護を任せるに至る。 さらにこの半蔵門という名称は、現在においても「半蔵門線」、「半蔵門駅」として地下鉄の名称になり、今もなお東京都民の身近な存在だ。 さて、話を現在に戻そう。服部半蔵の末裔が経営するという老舗和菓子専門店の深川屋は、東海道五十三次の47番目の宿場である「関宿」でも有名な三重県亀山市関町で、今でも380年の歴史と伝統を重んじ「関の戸」という和菓子を作り続けている。じつは、「深川屋」では、代々跡を継ぐ時に、「関の戸の味、変えるべからず」という文書に血判を押すという掟があったほど、伝統の味を大切にして来たのだという。また服部家は伊賀流忍者の末裔として、忍びの任務を隠すためにも和菓子屋を営んで来たとのこと。なお、忍者の携行食として日持ちするものが後に菓子作りへと発展して来たそうだ。 ちなみに、昨年(令和5年)の7月3日から9日まで、仙台三越では七夕特集として和菓子界の革命集団「本和菓衆」の展示即売会が開催されたのを覚えていらっしゃるだろうか。その時、日本全国の銘菓代表の一つに選ばれたのが深川屋の「関の戸」なのだ。読者の方で、この和菓子「関の戸」を味わった方もおられるのではなかろうか。なお、今年(令和6年)の7月にも仙台三越で販売を行う予定とのこと、是非伝統の味深川屋の「関の戸」をご賞味されてはいかがだろうか。 ところで、先月2月も末のこと、突然、我が家を訪問したいと昔の友人から電話があった。彼の名は「服部吉右衛門亜樹」と言い、時代劇にでも登場するような名前だ。それもそのはず彼は忍者服部半蔵の末裔で服部家の14代目にあたる御仁なのだ。トロントに在住する義理の叔母さんを訪ね日本からやって来たという。 じつは、彼とはもう40年前になるのだが、彼がまだ20歳の頃トロントへ留学生としてやって来た。ちょうどその頃の私は、昼間は美容師で夜はトロントの老舗日本料理店「波レストラン」で料理の勉強がてら修行していた。そこへキッチンヘルパーとして飛び込んで来たのが服部吉右衛門亜樹君だったのだ。彼は忍者伊賀流のふるさとである三重県亀山市の出身で、徳川家光の時代から380年も続く東海道五十三次「関宿」の老舗和菓子「深川屋」の御曹司なのだ。今では13代目から跡を引き継ぎ、14代目の服部家の主人(あるじ)として活躍している。 彼と話をしていると40年前のことが走馬灯のように蘇ってくる。彼にはもうお孫さんまでいて15代目、16代目は安泰だそうだ。 図らずも、本誌3月号には日向野洋子さんの「忍者くの一」が掲載されており、拝読しながら私は忍者の末裔「服部吉右衛門亜樹君」のことを思い出していたところだった。 (了)
追記; この記事作成後、服部亜樹君から次のような訂正と追加文が寄せられた。じつは、忍者・服部半蔵正成は1542年(天文11年)、三河国伊賀(現在の愛知県岡崎市)で服部半蔵保長の5男として誕生した。ちなみに徳川家康もこの年に生まれた同世代。やがて服部半蔵正成の兄弟たちも伊賀衆に加わり、その中の一人が服部亜樹君のご先祖で服部半蔵正成とは兄弟・親戚関係の同じ忍びの末裔だそうだ。やがて和菓子屋を「隠れ蓑(みの)」に、東海道五十三次の「関宿」で徳川家康のお茶屋御殿前に店を構え諜報活動や門番をしていたと古文書に記されてある。服部半蔵保長から数えて19代目で、和菓子深川屋創業から数え亜樹君で14代目になるという。なお、服部半蔵、じつは服部平蔵という名前だったのを、徳川家康が「源」の流れをくむことに気を遣い、「平」という字の上の一を下にずらし「半」に直し「半蔵」になったとか・・・
現代の七不思議
水戸秀雄 89歳 青葉区栗生
人類の進歩、発展は目覚ましく一昔、人生50歳と言われておりましたが、今や100歳時代に到達しようとしています。又夢物語りであった宇宙旅行も、実現可能となりました。その反面、現代の社会現象の中で、理解不能な出来事が数多く発生しています。現代の七不思議として取り上げてみました。(1)同じ人間なのに人類誕生以来、国と国との争いが絶えず、多くの人殺しが絶えないことです。(2)世界三大宗教と言えば、キリスト教、イスラム教、仏教で、キリスト教、イスラム教は親神が同じなのに、どの宗教も自己の宗教が正で他は邪としている。(3)安楽死を認めない。その反面ケアーセンターなどで、苦痛や負担の大きい延命治療を施している。(4)わが国の自衛隊は日本国憲法に規定する戦争のための陸、海、空軍の戦力ではない。(5)国民を代表する政治家が悪の象徴とされている、殺す、盗む、嘘をつくの中の1つである嘘を平気で話す。(6)大量、無差別殺人事件などの犯人が精神鑑定の結果、精神病者と診断されると無罪放免となる。(7)オレオレ詐欺被害が、高止まり以上に増加している。以上七不思議を列挙しましたが、異常気象、新型コロナなど不思議現象は枚挙に暇がありません。皆さんはその理由をご理解頂けるでしょうか。